知多半島にサッカー文化を!J1優勝経験者「阿部翔平」がJ10相当のシーグロッソ知多でプレーするわけ

知多半島にサッカー文化を!J1優勝経験者「阿部翔平」がJ10相当のシーグロッソ知多でプレーするわけ

阿部翔平選手は、2006年名古屋グランパスに入団し、2010年のリーグ優勝に貢献
ヴァンフォーレ甲府、ジェフユナイテッド千葉、SHIBUYA CITY FC 選手権監督を経て
2024年にシーグロッソ知多に入団

土屋 本日はよろしくお願いします。TOP(社会人)チームと育成について伺いたいと思います。

 ーー まず、渋谷シティーからシーグロッソに移籍することになったきっかけを教えてください。

 阿部選手
きっかけは、色々人との繋がりもあってなんですけど 最初は(提携関係を結ぶことになった)日福で練習参加をして体を動かすことから関係が始まりました。 それが最初の出会いで、自分が渋谷を辞める時にパッと頭に浮かんだのが日福でその周辺の知多という場所でやれたらなとボヤッと想像していた事もありますし、 まぁ直感的なところでしたが。 実際にそういう話が少し出ていたりしたので、その話が現実になってきたという形です。

J1とJ10で変わらない選手たちの熱量 

ーー 市立船橋から筑波大学、J1でデビューした中で現在所属しているシーグロッソは J10相当に所属するチームです。カテゴリーが変わる中でプレー、環境などでの大きな変化はありますか?

 阿部選手
プレーの質やグランドなどの質は全然違います。

だからと言って自分のプレーは変わりません。

J1であろうとJ10であろうと変わりません。変わらないことで言えば、選手たちの情熱は変わりません。J1でもJ2でも熱い試合があることは事実ですし、観客の数は違えどひとつのボールがゴールに入る、入らないということで心揺さぶられるということがあるのは、どのカテゴリーでも 変わらないしやりがいの一つだと思っています。

Jリーグ上から下まで、サッカーをやれる環境は違いますけど持ってる気持ちっていうのは変わらないものがあるんじゃないかと思います。 そこは魅力であるし、サッカーを続ける意味だと思います。

名古屋グランパスに育ててもらって、愛知に何か恩返しをしたいという思いはありましたし、僕ができるのはサッカーでだと思っていたので。 シーグロッソ知多というクラブを中心にサッカーを広めたり、子ども達と関わっていく中でレベルが少しでも上がれば愛知県や、名古屋グランパスに良い選手がたくさん入ってくる事に繋がれば良いなと思っていますし シーグロッソ内だけでなく、外の活動も認めてくれるこのクラブは魅力的でした。

 
 ーー 入団の最初のきっかけにもなった日福と現状、どのように関わっているか教えてください

 阿部選手
毎週会ってサッカーをできているわけではないので、ポイント・ポイントで教える 事をしています。

ただ、もう少し回数を増やしていきたいなと思っています。 個人的には、小中高で同じ戦術や戦い方を取り組みたいなと思っていて、その繋ぎ 役ができればと思っています。そのためにもまず自分自身が、TOPチームで魅力的 なサッカーをしなければいけないと思っています。 外側から変える事は難しいと思うので、選手である自分が少しずつですけど、説得力を持って変えていければと思っています。

 
ーー 初めて練習に参加した際の感想を教えてください

 阿部選手
まず、仲の良さを感じました。一体感というか。 いろんな格上との試合も観戦させてもらいましたけど、日福も意識していることも あってか、攻守の切り替えの速さはとても良いチームだと思いました。 練習入った時も、自分がかなり年上なので最初は緊張感もありましたけど、ここまで練習してきて仲間に入れてもらえたのかなと。(笑)

ありがたく思っています。 試合の中になれば、みんなすごく真面目に取り組みますし 僕が後ろから、良いプレーに繋がる声かけができた時だったり、素直に聞いてくれる選手が多いと思ってます。

すごく可能性を秘めてる選手達だと思います。

 


ーー 今後、シーズンが始まっていくと思いますが、シーグロッソの強みは、勤勉さ、素直さですか?

 阿部選手
はい。

それ以前に、そこがないと成長していきませんよね。 素直に聞けるかどうかで変わる。 素直に聞ける時期と聞けない時期が僕にもありました。聞ける時期は本当に成長した実感があります。 選手達にはそのようなスタンスというか、気持ちでいてほしいなと思います。 サッカー以外の場面でも、人間性は大切になってくると思うので まだ、みんな若いですし謙虚さだったり、素直さを手に入れてサッカーを続けてい くかは分かりませんけど、そのような気持ちを忘れずに育っていってほしいと思います。

 

育成年代にとって重要なのは継続と環境

土屋 ここからは育成について質問していきます。

ーー 現在3対3や、ジュニアではキックの練習をしていただきました。1~6年生で差はあるとは思いますが、子供を指導していて率直な感想や良いところや伸ばせると感じるところを教えてください。

 阿部選手
素直な感想はみんな楽しそうにボール触ってる、蹴ってるなと思いましたね。上手いかそうじゃないから置いといて。

元気で活発だし、ある意味健全なというかサッカーのあるべき姿なのかなと思いましたね。

課題はそれぞれありますけど、みんなサッカーにどれくらい時間を割けてるのかなって。中身の質ってのは置いといても、やっぱり時間割いてないと上手くならないなって。

本当に上手くなりたいならもっともっと練習して欲しいなって思います。

僕はもっとこれを やった方がいいよって伝えても、ある程度反復してもらわないと上手くならない。 プロになる選手たちってそういう子達の集まりなわけで。

僕よりキックが上手い選手たちは僕より何万本も蹴ってるという事実はあるので、量的な勝負はつまらない とは思うんですけど、結局そうなっちゃう。

それを継続できる事が結局、才能と言われることになる。 それは子供達にしっかり伝えていきたいと思う。あと、そういう場所もしっかり用意していかないといけないんじゃないかなぁと思います。

 土屋 公園なんかでも、ボール使用禁止な場所はふえていますよね。

 阿部選手
はい。いつでも蹴れる場所はあまりないかなぁと思いますし、そういう意味で子供たちに優しいクラブや地域になっていきたいと思います。

 

オフザボールの重要性を伝えること

ーー 育成年代の選手たちと、今後やりたい取り組みなどあれば教えてください。

 阿部選手
これからも3対3を徹底してやりたいですね。3対3にはサッカーの大切なことが本当に詰まっていると思います。 1対1でも2対2でも手に入らないものが3対3にはある。例えば、バランスとか。1人 が攻めて、1人が守って、1人がバランスを取る。これを覚えると8対8や11対11に も繋がると思っています。

土屋 オンザボールじゃないところは重要ですよね。 複数のことを考えて行動しないといけません。

阿部選手
 3対3だと責任の所在がはっきりすると思うんです。人数が多いとわかり辛いし、気付けないこともある。

そこに気付けて修正できる子は上手くなっていくと感じているので、そのような技術を磨くのに時間を割いてほしいと思います。


ーー 現状、少し流れは変わって来ているかのしれませんが、例えばドリブルスクールが 人気だったりとか、オンザボールが良い選手が日本で持て囃される風潮はあるので はないかと感じています。 先ほど、阿部さんが言っていたような中盤でバランスを取れる選手や、間違えない 選手が評価されにくい環境があると個人的に感じているのですが そのような選手が育つために、指導者や保護者が意識すべき事などあれば教えてください。

阿部選手
まず、前提としてドリブルだけでプロになった選手って1割もいないと思う。 その中でも、純粋なテクニックだけで抜けてる選手はほとんどいないと思う。

例えば、フィジカルが強くてボールを少し前に持ち運べていたりとか、スピードが あるからこそドリブルで抜けたりとか。 プロではそういう選手がほとんどだと思うんですよ。 小学生だと、ディフェンスは素直なところがあって抜きやすいですけど、プロになるとディフェンスも駆け引きがあるので。 プロになりたいなら、逆算していくとドリブルだけではプロにはなりづらいと思います。

ただ、 指導者に関してもオンザボールのプレーばかりをめるということがあると思うんです。 どこに価値観を置くのかっていう問題なのかなと。チームとして崩せたプレーを褒めるようにする。

そのベースがあった上で、それを外してターン・ドリブルしたなら僕は良いと思う。

でも、最初から最後までドリブルやスピードでプレーして最後決めました。っていうのは、今は良いけど中学生になったら通用しなくなるよっていうことをしっかり伝えるべきだと思います。

とにかく、「どこに重きを置くのか」
それをチーム全体で認識する事が大切だと思います。大人が実際に試合を見て、ちゃんとサポートに入ったり、バランスを取る場所に動いたシーンを褒めてあげる環境ができたら良いと思います。

 

サッカー文化を作ろう!
この地域だからこそできること

ーー 最後は少し大きな質問をしたいと思います。
TOPチームがこの先大きくなって、カテゴリーも上がっていく過程でチーム全体として保育園の子供達からジュニア、ジュニアユースと高校との提携しているこのクラブを地域の中でどのように位置づけるのか。またその中で阿部さんがどのように関わっていくのかを伺いたいです。重なる部分はあるとは思うんですけど。

阿部選手
シーグロッソのサッカーを確立できたら良いなぁと思いますね。 保護者も「シーグロッソはこういうサッカーをするから」「他のチームはこういうサッカーするから」という棲み分けができたらと思います。現状、ここのチーム が強いからって理由でチーム選びをされていると思うので、サッカーの内容でチー ムが選ばれる環境になれば良いと思っています。

知多は、そういう事がしやすい地域だと思います。渋谷なんかは色んなものが飽和していて設備とかは難しかったりで、そこまで手を回す事が難しかったんですけど、この地域ならチャンスはたくさんあると思っています。 色んな企業さんもいますし、一緒に協力できることが絶対にあります。 知多の子供達を上手くしたいなと思いますし、知多の子ども達が上手くなっていけば、他の地域も活性化されて、結果的に愛知全体のレベルが上がると思うので、ここ知多がその筆頭になれればと思います。 まだ体は動くので、直に手本を見せれる事は強みだと思います。

勝つサッカーはもちろんですけど、魅力的なサッカーができるようにしたいと思います。 シーグロッソや日福は勝っても負けても、魅力的なサッカーするよねと思われる チームにしたい。それを確立することでその地域の「サッカー文化」を作れると思うので、そのためにも、とにかく僕が説得力あるサッカーを見せることが大切だと思います。 小学生たちが上を見て、僕たちもこうしようと思えるように、TOPチームが引っ張っていけるよう頑張ります。

土屋 本日はありがとうございました。

阿部選手 ありがとうございました。


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C  GROSSO知多
C GROSSO知多
愛知県, 知多半島, 半田市

愛知県の知多半島を拠点に活動するサッカークラブ「C GROSSO知多(シーグロッソ知多)」、幼児から大人まで幅広いカテゴリでサッカーができる環境を整えています。

土屋喜平ライター

日本福祉大学附属高校サッカー部を卒業 シーグロッソ知多のコーチとして活動後、2023年度から、U9 のメインコーチに就任 現在はU10のメインコーチとして活動中