未就学児から社会人まで究極の育成を目指すクラブの挑戦

シーグロッソ知多はチーム内で縦のつながりがあり、育成において素晴らしい影響を及ぼす可能性がある。

　シーグロッソ知多はTOPチーム(社会人)、ジュニアユース(中学生)、ジュニア(小学生)、ビギナーズ(未就学児)のカテゴリーと提携している日本福祉大学付属高校サッカー部から成る。
https://cloud-stadium.com/articles/c-grosso-introduction

ここでシーグロッソ知多の育成に関する特徴を大きく分けて2つあげる。

選手、スタッフ間の移動

このように全ての年代を網羅しているため学年の飛び級はもちろん発生する。最近のジュニアでは2学年飛び級する選手も出てきた。それだけではなく、ジュニアからジュニアユース、高校卒業からTOPチームというように選手がそのまま上のカテゴリーに行くことは多い。その場合、選手が適応に苦しむことは少ないと言えるだろうし、スタッフの行き来も存在するためスタッフ間での情報共有もなされ選手にとってやりやすい環境だといえるだろう。各カテゴリーに担当指導者が存在するが、異なるカテゴリーの指導者が練習を見ることもある。トップチームの監督がジュニアを見ることもあれば、高校のスタッフがジュニアユースを見ることもある。逆に、ジュニアを見ている指導者がジュニアユースを見ることもあるため、異なる視点からの指導が受けられることは魅力といえる。さらにジュニア年代においては通常練習とスクール練習で異なる学年の指導者が指導にあたる場合がほとんどである。ジュニアの指導者はサッカーの大きな原理原則を共通認識していながら、指導は指導者本人に任せているため、共通の項目を異なるアプローチで学ぶこともできる。

各カテゴリー、各学年に必ず1人の担当スタッフがいる事により成り立つこの環境は、選手育成において極めて重要である。そして、その結果として良い選手がTOPチームに入団しチームの勝利に導くという好循環に繋げていかなければならない。

トップチームと育成年代の交流

現在、TOPチームの活動はジュニアとジュニアユースどちらかと同じ会場で時間をずらして行われる。つまり、育成年代の選手たちが練習後にTOPチームの練習風景を見学することができるのだ。しかも、その中に元名古屋グランパス所属 阿部翔平選手がいる。J1リーグ優勝に貢献した選手の本気の練習を身近で見ることができる環境は決して多くは存在しない。

また、阿部翔平選手と共に育成年代の選手のために毎月イベントを実施している。4月に第1回のイベントが実施された際には、小学生3,4年生が阿部選手にキックの仕方などの質問をしている光景が見受けられ、選手達にとってはこの上ないきっかけになっただろう。

昨年度は、卒団式間近であったU12の選手達とTOPチームで紅白戦が行われた。(ちなみに、この年代の選手達のほとんどがジュニアユースに上がった)

そして、TOPチームの愛知県3部リーグ昇格がかかった試合では多くのジュニアの選手達が応援に訪れ、技術やスピード、キック力に驚いていた。特にジュニア年代においては同じエンブレムを付けた選手達の活躍は良いモチベーションになったのではないだろうか。ちなみに、彼らは試合終了までシーグロッソコールをしていた。とても微笑ましい光景であった。(笑)

現在、日本ではスペインの育成に注目が集まっている。バスク在住の指導者である岡崎篤氏はジャーナリストの小澤一郎氏とのインタビューの中で、スペインバスク地方の育成の優れた点として、TOPチームの指導者と育成年代の指導者の共通認識とTOPチーム指導者が育成年代の選手達を気にかけている点、TOPチームと同じ会場で育成年代の選手達が練習している点を挙げた。日本においてそのような環境が整ったクラブチームはJリーグの下部組織クラブを除けば決して多くはないだろう。シーグロッソ知多は、そのような環境が整っている。育成年代の選手達が羽ばたく上で、この上ない環境だと言える。

最後に、小澤一郎氏はDAZN ラリーガ・フリークス PLUS #12にて自分以外の試合や練習を俯瞰で見ることのできるカフェテリアの重要性を説いていた。シーグロッソ知多に専用グランドとカフェテリアが建設されることを期待したい。